詐欺クレーンゲームについて元ゲーセン店員が思うこと

年末にゲーセンで景品が取れない設定なのに、接客しまくってぼったくっているというニュースありましたよね。悪質な運営と色々と言われていますが、元ナムコの店長&店員として少し解説してみる。

そもそも景品ゲームは取れにくいもの

景品ゲームはクジみたいなもので、取れにくいもので当然。宝くじで外れて売り場にクレームを言う人はいないだろう。ちょっとしたぬいぐるみでも原価は300円~500円。しかし、300円で景品を取られたら、従業員のお給料、家賃、機械の購入費はどうするのか?
つまり、しっかりと利益を出さないと存続が出来ない。

例えば、300円の景品でも売上を1000円や2000円で取ってもらう設定にする必要がある。計算をしてみると500円の景品を1回100円で1500円で取ったとしたら、1/15の確率で6%の取れ方。粗利は1500円ー500円で1000円となる。

(売上)1500円-(景品代)500円=(粗利)1000円

大儲けと思うだろう。しかし、そこに店を運営する為の経費を計上すると、実はそれでも足りないのだ。大手ショッピングセンターでは家賃が歩率で売上の20%~30%ということが多い。利益ではなく売上なので、1500円の売り上げに対して450円の家賃が発生するので、粗利1000円から引くと550円となる。

(粗利)1000円-(家賃)450円=(残り)550円

ゲームセンターは内税

それだけではない、消費税が引かれることをも忘れてはいけない。1500円の売上だが、消費税は8%かかるのだ。つまり120円は税金として納める必要がある。先ほどの続きで計算すると550円-120円で430円だ。

(残り)550円-(家賃)120円=(残り)430円

従業員の給料は店によって事情が変わるだろうが売上の10%ぐらいと少なく見積もっても100円。430円ー100円=330円。

(残り)430円-(人件費)100円=(残り)330円

これで終わりと思うだろうが、ここから莫大な電気代が発生していく。LED化されて電気代はかなり安くなっているが、それでも、ゲームセンターは電気の消費が激しい業態なので、この費用も馬鹿にならない。また、ゲーム機の代金が発生する。減価償却として計上されるが、全体の15%ぐらいの店も多い。結局は1000円の売り上げに対して、手元にはほとんど残らないということも少なくない。

(残り)330円-(電気代)100円-(機械代)150円=(純利益)180円

しかし詐欺は別の話なのだ

実はゲームセンターは過酷なものだ。基本的に接客はクレームから始まる。「景品が取れない」「詐欺だ」「景品をよこせ」これは日常茶飯事。特に、大阪は多い。多いというよりも「酷い」。明らかに店員をバカにするような態度を行う人も少なくない。私はナムコを退社する寸前の数年間は店舗営業の応援で色々な地域のお店に週替わりで入っていたが、客層の悪いところと良いところというのは、はっきりしている。心の病にかかる少なくない。

これは景品ゲームだけでない。メダルゲームでも、当たらないと「責任をとれ」と言われることも日常茶飯事だ。いったいどこにそんな責任があるのか非常に疑問であり、「警察に通報する」と脅されることも多い。もっとも、私の場合は、携帯を渡して「どうぞ、お電話してください」と対応してこともある。

まるでストレスのはけ口なのだ。

だからこそゲームセンターは取れる設定にしている

とにかくストレスが多いので、多くのゲームセンターは景品は取れるように設定している。先の程の事情があるので、簡単には取れないが何らかの形で取ってもらわないと、自分自身が辛いのだ。暴力を振るわれることもある。実は店員は客が使ったお金に敏感で、ある程度まで客が使うと緊張が走る。それは「そろそろ取ってもらわないとクレームになる」というものだ。

その点からいって、今回摘発された店の従業員のメンタルはどうだったのだろうか?ニュースによると、取れないことを理解した上で接客していたとのことだが。それが本当であれば、詐欺という犯罪を犯すということで、ゲーセンの店員とは違う思考回路だったのだろう。

観光客が多い地域なので、実はクレームは少ない。しかし、嫌な思い出を作ってしまうとなると、今回の摘発は妥当だったのか?しかし、この摘発に便乗して恐喝まがいのサービス強要が出てこなければ良いのだが。

景品取れない「クレーンゲーム」摘発 詐欺容疑でゲームセンター社長ら6人逮捕 大阪府警

http://www.sankei.com/west/news/171223/wst1712230032-n1.html

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